書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

免疫

目や耳などから入ってくる情報に対して、大人は取捨選択をしていることが多いです。
自分の考え方や経験をふまえて、時には先入観や思い込みも影響させて、情報を処理するわけです。

 

なにかネットで記事を見つけて
「そうそう、そうなんだよな」と納得をしたり、
「そんなわけないわよ」と逆に情報を信じなかったり。

 

自分に都合の良い情報だと納得できて、そうではないと信じられなかったり、
あるいは、自分に都合の良くない情報ばかりが頭を占めてプラスの情報が頭に入らなかったりすることも。

 

ともかく、情報というものに対して、大人は自分なりの何かを通過させてから処理をするわけで、言い換えれば、情報に対する「免疫」があるのです。

子どもは違います。

 

情報がストンとそのまま頭に入るものだと思って下さい。
なにも通過せず、見たまま、聞いたままが、ストンとそのまま。

 

大人が冗談で発した一言が、何年も傷になって残ることがあります。
何の気なしに言ったセリフでこちらも覚えていないようなものを、いつまでも気にしていることがあります。

 

子どもは大人と比べて、
まだまだ情報に対する「免疫」がないと思って下さい。

 

セリフそのものではなく、きたない言い方や怒鳴った声などが、印象のままにストンと入ってしまうこともあります。
きたない言葉を浴びせられたことに対して「まぁ、疲れてるんだから、ちょっとグチってしまっただけだろう」などと理解力を発揮する子どもは少ないです。言われたことが、そのままストンと入るものだと思った方がいいです。

 

頭に入るとか、覚えている、というよりも、もっと意識の下にある土台の部分にどっしりと埋め込まれることもあります。

 

大人の言葉を、大人が思う以上にそのまま受けとめて、いつまでも残っていることがある、ということを知っておきましょう。

子どもの言動の根拠が、その「残っているもの」にあるというケースも少なくありません。

 

だから、子ども達には気を遣って、否定をしないようにして、大きな声を出さないようにして、ちゃんと論理立てて、専門家が言うセリフを真似するようにして、とにかく正しいセリフで正しく伝えるようにしましょう、と言いたいわけではありません。

 

そういう難しいことをする前に、
「免疫」のない子ども達だからこそ、シンプルな言葉を大事に使ってあげるようにしましょう。

 

そう、
「ありがとう」とか「ごめんね」とか。

 

そういうシンプルな言葉だって大人よりもストンと入るのですから、恥ずかしがらずに使って下さいね。